SSブログ

2019年夏の旅Ⅱ<京都・大阪>その2:台風と五山の送り火 [日本二周目]


2日目:8月15日(木)

この日は、この夏2回目の台風と激突する日。雨風が激しくなるのは午後以降との予報なので、行けるところまでは行ってみようと思います。
朝食は、次に乗るバスの関係もあり、四条烏丸付近で取ろうと思っていたのですが、念のため昨晩のうちに第一候補だったおばんざいの朝食処に電話すると、「明日は臨時休業します。」とのこと。この日は台風の影響で関西圏のデパートですら臨時休業を決めたお店が多かったくらいですから、臨時休業はやむを得ません。朝食の第二候補である"イノダコーヒー本店"に電話したところ、「とりあえず朝は開けるけど、何時に閉めるかはわかりまへんで!」とのことなので、朝食を取るためにタクシーでイノダコーヒー本店に向かいます。
IMG_8398.JPG
台風が接近している朝7時の開店直後だというのに、イノダコーヒー本店は噂通り結構な混雑。我々はノスタルジックな雰囲気の旧館に席を確保して、1000円を越える豪華な朝食と相変わらず美味しいコーヒーをいただきます。
DSC_0294.JPG
ここでコーヒー好きな妻は、コーヒー豆のお土産を購入。今から台風の中観光をするのだから、荷物は出来るだけ少ない方がいいにも関わらず…  実家へのお土産なのであれば送ればいいのに… と、思うのは私だけ?
DSC_0289.JPG
まだどこも開いていない錦市場を散策しながら、四条烏丸のバス停まで。台風の影響か風はかなり強いものの、雨はまだ降りだしてはいません。
IMG_8401.JPG
四条烏丸からは、今日午前中の目的地である「苔寺・すず虫寺」行きの京都バスをつかまえます。嵐山などを通って終点の苔寺・すず虫寺バス停までは結構遠く、バスでも50分以上は掛かります。

完全予約制である苔寺(正式名称は西芳寺です)には、数ヶ月前に往復ハガキで参拝を申し込み、この日の10時で予約OKになっています。まだ10時かなり前ですが、「今日は台風なので、早く始めて、出来るだけ早く閉門します。」とのことで、時間前に開門。
IMG_8427.JPG
参拝料金@3000円を払い。写経用紙を受け取りますが、片手の私は写経なんぞできないので、妻の横にただ座って見ているだけ。苔寺に来るのは43年振りで、高校1年生の時"まもなく完全予約制になる"という情報を聞いて、とりあえず来てみたことだけは覚えていますが、それ以外のことは情けないことに完全に忘れています。
IMG_8403.JPG
妻がようやく写経を終え、写経を奉納してようやくメインイベントの庭の見学になりますが、ここに来て係員さんが近づいて来て、"あなたの足では、庭園の見学は無理じゃない?"と、言い出します。「ここにきて、今頃言うなよぉ~!」って感じですが、今ここで諦めたら、何のために6000円も投資したか全くわからないので、粘って詳しくヒアリングしたところ、どうやらきついのは上りよりも下りで、手すりも十分ではないとのこと。でも、下りの階段は順路の最後で、反対側から見に行けるということなので逆行して見学に行き、確かにきついはきついけれど、後ろ向きに右側の手すりを持って慎重にゆっくり降りれば何とか行けそうです。「それなら、大丈夫かな?」と、係員も言うので、順路を歩き始めます。
IMG_8408.JPG
まだ雨は降りだしていないので、苔寺の苔は、何となく乾いている感じ。3000円も払った分かなり期待している妻も、「あれ、この程度?」って感じで、苔に感動する感じではありません。
IMG_8411.JPG
おまけに、散策路のバリアフリーは全くなく、私にはかなりの急坂や急階段を上り降り。逆方向に戻ることも出来ないなぁ~!と考えながらとぼとぼと歩きます。
IMG_8421.JPG
すると、順路のほぼ最後の頃に手すりが全くない上りの急階段が現れます!
妻と、「こりゃ、無理だ!」と話すものの、来た道を戻ることも出来ないし、台風で閉門時間は迫っているし… 
結局、上るしかないと覚悟を決め、慎重に慎重に一歩一歩必死の思い。自分的には本当に死ぬかとも思ったほど(さすがに大げさ?)ようやく上り切った時には苔寺の風景など完全に消しとんでしまいました!
IMG_8425.JPG
(これが私には死ぬほど辛かったのぼり階段を上から見たところ)
あまりにも我々が遅いからか、さっきの係員が様子を見に来ています。私は、怒る気にもなれずに「もう、二度と来ませんから!」と、こっそりと呟き。

苔寺のすぐ近くには、人気の鈴虫寺があります。普段は凄い人気で1・2時間待ちは当たり前のようですが、今日は行列が階段の上の方にちょっとあるだけなので、勇んで列に加わります。
IMG_8436.JPG
「今日の参拝は12時まで」と表記があり、鈴虫寺人気の法話は、12時前の我々がこの日の最後の回。評判通り真夏なのに鈴虫がリンリン鳴いていて、この涼しげな音色をFacebookにアップしたら喜ばれるかな? なんて思っていたら、「デジタル機器は鈴虫の音色は拾えないので、録音しても無駄ですよ!」なのだそうです。
鈴虫寺の敷地から台風寸前の京都市内を遠望。
DSC_0300.JPG
間もなく、暴風雨がやって来る、"嵐の前の静けさ"です。

2寺の見学を終え、とりあえず嵐山まで戻ることにして、バスに乗り込みます。渡月橋の辺りにいつもはたくさんいる人力車がいたら、風は強いけどまだ雨は降っていないので、 嵯峨野辺りの竹林を30分程度人力車で回ってもらおうと考えてバスを降りたのですが、さすがに人力車の影も形もありません。さすがに観光客も殆んどいなくって、数少ない観光客はみんな外国人です!
IMG_8439.JPG
さすがに嵐山付近の観光を諦め、まだ営業している数少ない観光用の食堂でランチ。もう、観光は終わりなので、勿論ビールと共に!
DSC_0301.JPG
昼食後は、出発前日に慌てて探した嵐山の日帰り温泉へ。「僅かしかいない観光客が、"全員外国人"ということは、おそらく日帰り温泉はガラガラに違いない!?」と予想していましたが、予想以上にガラガラというより入った時には男湯は貸切状態! 日帰り温泉の相場からするとかなり高額なお風呂でしたが、これだけの巨大風呂を貸し切れるのなら安いもの!?
(その後、若者のグループが入って来て、しばしの静寂は破られましたが…)
IMG_8444.JPG
外はまだ小雨状態ではありますが、風は益々強くなって来たので、今日の観光はここまで。鉄ちゃんのくせに、”嵐電”には区間乗車しかしたことがなかったので、この機会に嵐山から四条大宮まで全線を乗り潰し。
IMG_8456.JPG
ずっと最後尾に立って鉄ちゃん気分を満喫していました。
IMG_8458.JPG
四条大宮からはまたバスでホテルまで。台風は夜~夜半がピークらしいので、ホテルの部屋で大人しくするより方法はありません。

とは言え、夕食は食べなければなりません。今晩の夕食は、京都らしい風情のある鴨川沿いの料亭の、鴨川の上に設えられた床(ゆか)の席を予約していましたが、この豪雨の中では床の席で食べられる筈もありません。歩いても行けない距離ではないのですが、豪雨の中なので迷わずTAXI。
ちなみに、この辺りの鴨川の上の席は”とこ”ではなく”ゆか”と言います。よく言われる「川床(かわどこ)」とはもっと上流の貴船辺りを指すのだそうです。旅行会社の若手営業マンだった頃、この辺りを川床(とこ)と間違えて、先輩に叱られた記憶が甦りました。

料亭では、我々が座る筈だった大雨の床(ゆか)の席を見ながら、個室でいただきます。
DSC_0317.JPG
今日は雰囲気重視の夕食と考えていて、料理には殆んど期待をしていませんでしたが、意外にも美味。特に京都の夏の定番であるハモは、新鮮な和歌山のそれとは違って、熟練の技が光る美味しさでした。
DSC_0309.JPG
帰りもタクシーを呼んでもらい、豪雨暴風の中をホテルまで。台風は今夜がピークで、明日には通り過ぎる予報。一晩中荒天の中ですが、心地よい疲れからぐっすりと眠れました。

3日目:8月16日(金)

どうやら、予報通り台風は無事に通り過ぎていってくれたようです。これで今日は無事に念願の五山の送り火が見られそうです。
朝食は、ホテルすぐ前の京都では有名なパン屋さんのチェーンである志津屋さんでいただきます。京都はパン屋さんが多くどこも美味しいということで、朝食のパンの食べ歩きも楽しみのひとつ。
DSC_0318.JPG
美味しく朝ごはんを食べているうちに、予約していた貸切タクシーが到着。到着した車を見た瞬間、自分のやらかした大きなミスに気付きました。
そう、配車された車は、私が最も苦手とする車の”プリウス”だったのです! プリウスが苦手なその理由は、後部座席に乗るドアが異常に狭いこと。右足に大きな装具を着けている私は、いつもプリウスには足の装具が引っ掛かって乗り降りに一苦労するため、タクシーを捕まえるときにもプリウスタクシーには絶対手を挙げず、タクシー乗り場でプリウスに当たると先を譲るほどに、この車が大の苦手。タクシー予約の時に、「プリウスだけはやめてね!」と伝えるのを忘れた私のミスで、人のよさそうな運転手さんに罪はありません。
でも半日予約の観光タクシーですからこうなると断る訳には行かずに、毎回乗り降りに数分を費やすという効率の悪さ。運転手さんには毎回「狭くてすんませんなぁ~!」とお詫びされますが、自分のミスなので必死に右足を出し入れします。

今日のタクシー半日観光の目的地は大原。大原には全く行ったことがなかったので、せめて三千院と寂光院くらいは押さえておきたいと考えていたためです。途中、昨日の台風の名残なのか雨が降りだしますが、大原に着く頃には止んでくれます。台風一過とまではいきませんが、今日の天気は大丈夫そうです。
最初に訪ねるのは三千院。
IMG_8473.JPG
建物も庭もとってもいい感じ。特に、昨日の雨でしっぽりと雨を含んだ苔がとってもいい感じで、「苔寺より、ずっと苔の庭が素敵!」と、感激しきりです。
IMG_8490.JPG
確かに、苔寺以上かどうかはともかく、"匹敵する眺め"であることには間違いありません。
IMG_8499.JPG
続いては、寂光院。
IMG_8508.JPG
若くして子供(安徳天皇)を亡くして仏門に入った建礼門院さんが、この山奥で過ごした時の気持ちはどんなものだったのでしょう?
IMG_8512.JPG
寂光院の線香の香りがとっても印象に残る香りだったので、思わずお土産に線香を買って、時折寂光院を思いだしながら、今でもその香りを楽しんでいます。
DSC_05112.JPG
それにしても、大原には外国人は殆んどいません。外国では、"京都~、大原、三千院…"というあの歌が知られていないからなのでしょうか? "外国人がいない京都"が見たくなったら、大原がオススメかもしれませんよ。

大原はこの2つを満喫して大満足。タクシーチャーターの残り時間がまだあるので、私のリクエストは京都市内へ戻りながらの詩仙堂。「では、近くの曼殊院とセットで」ということでまずは曼殊院へ。
IMG_8514.JPG
この曼殊院、来た記憶は絶対にない筈ですが、何故か「デジャヴ感」があるのです!?
IMG_8519.JPG
同じく初めての筈の詩仙堂にもあったデジャヴ感。
IMG_8523.JPG
どうやら、JR東海のCM「そうだ、京都、行こう」をたくさん見すぎた故のデジャヴ感なのかも知れませんねl!?
IMG_8527.JPG
勿論、曼殊院も詩仙堂もその年のキャンペーンの主役を務めたことのある施設です。

ホテル近くの祇園でタクシー観光は終了。お目当ての昼食処は鯖寿司で有名な名店"いづう"。
IMG_8534.JPG
満席なら鯖寿司をテイクアウトしてホテルの部屋で食べようと思っていましたが、ありがたいことに丁度出るお客さんの席が空きます。"まずは、ビール"と言いたいところですが、このお店には日本酒はあるのにビールがありません。理由は「うちの味にビールはあいまへん。」なのだそうなので、それならばと昼から冷酒を注文。
DSC_0322.JPG
本店で食べる鯖寿司の味は、久し振りに美味ではありましたが、ビールに合わないかどうかはいささか疑問。
DSC_0326.JPG
合うかどうかを判断するのは、食べる我々だと思うのですが…
まぁ、それだけ味に自信とこだわりを持っているということで…

午後は妻はホテルで休息。私は祇園周辺の散策に出かけます。
まずはホテルそばのパン屋さん「グランマーブル祇園」に翌日の朝食を仕入に。
IMG_8536.JPG
ところが、美味しそうなパンはケーキのように箱に入っていて、切ることはできないのだそう。切れていないパンならホテルの部屋では食べられないので、明日の朝食は諦め、だけどパンなのに意外と日持ちがするということで急遽お土産として購入して帰宅後に娘にあげたところ、「これ、我々の結婚式の引出物(お土産)で、列席者に配ったお店のやつ!」と言われてびっくり。そういえば、倹約家の娘は親族にはお土産を配っていなかったことを思い出しました。

祇園の花見小路は、もうすっかりいつもの賑わいを取り戻していて、外国人・着物の観光客など大原とは違ってとてもインターナショナルな雰囲気。
IMG_8539.JPG
建仁寺の外環だけを眺めてから、祇園を出で昨日今日の夕食場所の木屋町通りまで散策。今日は、床での夕食も楽しめそうですね!
IMG_8545.JPG
その後、京阪電車に1区間だけ乗り、何故か突然無性に行きたくなった三十三間堂に凄く久し振りに行ってみます。
IMG_8551.JPG
自分に似た仏像が必ずあるということでしたが、昔から何度見てもそれは見つかりませんでしたが、今回も見つけることはできませんでした。どうやら、"年の功"は関係ないようです。(無駄に年を取っているだけ⁇)

祇園まで戻ろうと乗ったバスは、「急行 銀閣寺行」。乗っているうちに、突如銀閣寺にも行きたくなり、祇園では降りずに終点まで行くことに。でも、終点の銀閣寺までは意外と時間が掛かり、なおかつバス停から銀閣寺までは記憶以上に距離があったため、銀閣寺はかなり焦って観光をする羽目に。
IMG_8555.JPG
結局、帰りはタクシーの世話になってしまいました。

いよいよ五山の送り火を見る夕食。今日予約していた料亭は、昨日と同じ木屋町通りにある「鮒鶴」という伝統的なお店ですが、料理は京料理ではなくフレンチ。(なので、お店の名前も”FUNATSURU”。)  今日のメニューは"五山の送り火スペシャルメニュー"で、飲み物込みで@20000円。五山の送り火は席から眺めるのではなく、時間になったら屋上にご案内いただけるとのこと。
このレストラン、サービスも抜群で料理の味も良く、妻はすっかりお気に入り。私も気分良くワインを飲みすぎて、一瞬五山の送り火のことを忘れそうになりました。
IMG_8567.JPG
やがて屋上に案内され、五山の送り火を椅子に座ってゆっくりと見ることができました!
IMG_8572.JPG
「思ったより、小さい」とか、「やっぱり、一つしか見えない」などと贅沢を言い始めるときりがないけれど、これだけいい気分で体の負担なく五山の送り火を見られたのですから、十分に満足しなければ罰があたりますね。
でも、片手で操作する簡単カメラでは、この写真が限界です。本当に、片手ではカメラは難しい!
IMG_8578.JPG
妻は、「このお店、また来たい!」と言っています。今度は、送り火プランではなく、通常料金の時に来たいものです。

これで京都の3日間は全て終了。今回も本当にいろいろなことがありましたが、京都には必ず「また、来たくなる」不思議な魅力があるのです。
"3周目に!"なんて呑気なことは言わず、"来年も、また"来ようと思います。

コメント(0) 
共通テーマ:日記・雑感

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。